研究

極端な見た目の銀河とは何ですか?

皆さんが銀河を思い浮かべるとき、普通の大きくて雄大な姿を想像すると思います。ほとんどの通常の銀河は形態によって2つに大別され、それが下に示す渦巻銀河と楕円銀河です。色や構造(たとえば渦巻腕)など他の特徴も、私たちの宇宙の多くの銀河を分類する比較要素になります。

NGC 4535 (渦巻銀河) と M49 (楕円銀河)


(画像クレジット: NSF-DOE ヴェラ・C・ルービン天文台)

しかし銀河の中には、渦巻銀河や楕円銀河と全く異なる銀河もあります。これらはとても暗く見つけにくいか、非常に不規則な構造を持ち普通銀河では目にしないような形をしている場合が多いです。本プロジェクトではそのような極端な見た目の銀河の中でも、青い塊として知られる銀河と、拡散銀河に注目します。

青い塊

青い塊は非常に独特な恒星系で、とても不規則な塊状の形をしており、ほとんど全ての恒星が若い青い星々です。限られた数しか知られておらず(そしてそのほとんどはZooniverseのボランティアが見つけたものです)、そのすべてがおとめ座銀河団で見つかっています。おとめ座銀河団は新しい星の形成に必要な冷たいガスを保持するにあたっては過酷な環境なはずですが、それでも青い塊はどういうわけかこの条件下で他の銀河などから孤立して生き延びています。そのためこうした若い青い星からなる孤立系が存在すること自体が不可解なのです。

以下はハッブル宇宙望遠鏡で撮影した既知の青い塊、 SECCO1, BC1, BC3です。

(画像クレジット: NASA/ESA ハッブル宇宙望遠鏡)

拡散銀河

拡散銀河は矮小銀河と同じくらいの数、およそ100万から1億個の恒星しか含まないにも関わらず、数千億個の恒星を持つ天の川銀河に匹敵するような大きさにまで広がっています。銀河が発する全放射の半分を放つ半径を銀河の有効半径と呼ぶのですが、拡散銀河は恒星数が比較的少ないにもかかわらずこの有効半径が異常に大きいのです。これが拡散銀河と呼ぶ所以で、構成する恒星のほとんどが年老いており、典型的な銀河よりもはるかに広く広がっています。その結果拡散銀河は空の一定領域当たりで放射する光量(これを天文学者は表面輝度と呼びます)は普通の銀河より少なく、ぼやけた光のシミとして見えます。

以下はLSST DP2で撮影されたほとんど透明な拡散銀河、LSBVCC437です。

(画像クレジット: NSF-DOE ヴェラ・C・ルービン天文台)

なぜこれらの極端な見た目の銀河に関心があるのでしょうか?

ほんの10年前までは極端な見た目の銀河の数は非常に限られていました。天文撮像サーベイが進歩すると既知のこうした銀河の数は劇的に増えました。今日ではこうした天体は以前よりはたくさん知られていますが、それでもなぜこうした天体が多く存在するのかという疑問は残ったままです。たとえば青い塊はごく最近発見されたばかりで、銀河ではないかもしれません。代わりに、母銀河の外で形成された星団であるかのせいもあります。青い塊や拡散銀河の起源は、通常の銀河の形成プロセスを通しては完全に説明できません。こうした異常な天体を研究することで、銀河がどうやって形成し進化したかの理解にある重要なギャップを埋めようとしています。

なぜLSSTのDP2を使うのでしょうか?

拡散銀河や青い塊は定義上、従来のほとんどのサーベイの検出限界を下回るような天体です。以前の望遠鏡やカメラはこうした暗く、夜空の背景に埋もれてしまうほど広がった光を捉えるほど高感度ではありませんでした。NSF-DOE ヴェラ・C・ルービン天文台は8.4mの主鏡と32億画素のカメラ、空の同じ領域を繰り返し撮影し深くしていく手法でこれを一変させます。ルービンの時空間レガシーサーベイ(LSST)はこれまで達成されたどの観測の検出限界を超える表面輝度まで到達しようとしています。この深度の向上は拡散銀河にとって特に重要です。拡散銀河の光は広い範囲に広がっているので、従来の浅い観測ではノイズの海に埋もれてしまい、十分な光量の露出で初めてぼやけた像として姿を見せるからです。ルービンの第2期データプレビュー(DP2)はこの改善が実際にどのように見えるかを早期に見せてくれます。以下はM49のハローに埋もれていた拡散銀河VCC 1249周辺の空の領域を、40年間にわたる各時代で代表的なサーベイの変遷で追跡したものです。1990年代の写真乾板ではぼやけてほとんど見えない点だったものが、ルービンのDP2では明るさだけでなくはっきりと拡散銀河として解像されて写っています。ルービン天文台のチームもコンパクト銀河グループのRSCG 55について同じような投稿をしています。この進歩は1個の天体特有のものではなく、ルービンが今後10年にわたって暗く表面輝度の低い構造を多数解き明かすことの前兆に過ぎないことがわかります。まさにこれが、皆さんの目で探していただきたい、新しく見えるようになった宇宙の姿なのです。

この銀河はSkyviewerでも見ることができます!

なぜ皆さんの力が必要なのでしょうか?

極端な見た目の銀河を理解する最初のステップは、あらゆる環境下でもっと多くの極端な見た目の銀河を発見することです。通常の銀河については天文学者は専門のコンピューターアルゴリズムで、大規模データセットから効果的に通常の銀河を抽出できます。しかしこのアルゴリズムを拡散銀河を見つけるように設計しても、拡散銀河は識別可能な天体というよりはただのぼやけたシミにしか見えないため、その信頼性の評価を人の目で分類することなしに評価することはできません。一方で青い塊については、同じ形の天体が2つとして無く、非常に暗い場合もあるのでコンピューターが捜索すること自体が困難です。つまり、両天体について最も信頼できる捜索手法は人の目で探すことです。近傍銀河団のサーベイは数千枚もの画像に対応しているため、これを少数の研究者で見て探すには多すぎます。DP2のM49領域のおとめ座銀河団に至ってはおよそ1万もの画像になります!しかし市民科学者の大人数のチームであればこの困難を一緒に乗り越えることができ、みなさんは極端な見た目の銀河の謎を解き明かすにあたって重要な役割を果たすことができます!

以下はDP2のM49フィールド全体をプレビューをSkyViewerで表示したものです

(画像クレジット: NSF-DOE ヴェラ・C・ルービン天文台)

以下はルービンのファーストルック画像でのおとめ座銀河団に説明を加えたものです

(画像クレジット: NSF-DOE ヴェラ・C・ルービン天文台)

NSF-DOE ヴェラ・C・ルービン天文台はアメリカ国立科学財団とアメリカエネルギー省科学局からの資金提供を受けています。

行われた分類をどう活用しますか?

皆さんの分類は、銀河団で調査すべき領域を絞り込み、個々の極端な見た目の銀河をより詳しく研究する際に役立ちます。市民科学者による分類結果は全て私たちが精査し、ガスの兆候を探したりその恒星集団について研究するために他の望遠鏡で追観測するための候補を選びます。この大規模サンプルと、追加観測で得られた新しい情報は、こうした天体がどのように形成され今後どのように進化していくかをより理解するために活用されます。