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よくある質問

天文学者向けのぎんがいろモザイク

このページは、より専門的な内容を知りたい方向けにプロジェクトの背後にある科学的動機を解説するためのページです。

結果のデータを探している方は、公開されているぎんがいろモザイクのデータが様々なフォーマットでこちらでダウンロードできます。

また、チームによって出版された論文のリストはこちらで閲覧できます。

なぜ銀河の形態は重要なのでしょうか?

第一に、銀河の形態は銀河内の恒星の軌道運動のトレーサーですが、銀河内の星形成や銀河核の活動を促進するプロセスの痕跡も含んでいます。視覚的形態は、他の物理パラメーターと強く相関する分類を生みます。単純な例では、核が複数あり潮汐の効果が拡がっていると、その銀河は合体が進行中で星形成が支配的になっています。同様に、そのような特徴が存在しない銀河では、銀河の進化はより穏やかなプロセスで進んでいます。

伝統的に、銀河の形態研究は画像を目視で行われていました(たとえば Hubble 1926, de Vaucouleurs 1991、最近ではNair and Abraham 2010)が、ほかに濃度、非対称性、凝集性、M20値、ジニ係数などの形態学的パラメータ (たとえば Conselice 2003, Lotz et al. 2008)を用いることもあります。厳密にいえばこれらのパラメーターは形態学的「プロキシ」であり、それぞれ固有のバイアスを持ち、通常は視覚分類と対比して補正します。視覚的アプローチは一般に、画像のSN比や解像度の変化にも耐性があるため(たとえば Lisker 2008)、今なお銀河の形態研究には理想的な手法です。それでも、個人の研究(もしくは研究者の小規模グループ)では視覚分類では時間がかかりすぎるのを避けるため、大規模データセットの分類においては、精度の妥協は仕方ないとしてパラメーターで自動で分類する手法が有用でした。

本プロジェクトによる大規模サーベイデータセットの分類

ぎんがいろモザイク(Lintott et al. 2008, 2011)は、サーベイデータセットを大規模に視覚的に分類するための新しい手法を開拓しました。一般大衆ののべ100万人以上の人々によって、プロジェクトでは直接的な視覚分類で、スローンデジタルスカイサーベイの分光サンプル全体と、すべての現存していたハッブル宇宙望遠鏡のサーベイの、合計約150万個の銀河を分類してきました。1天体当たり40件以上の分類を集めている本プロジェクトでは、視覚分類とその不確定性の評価(人間の分類者が数人しかいなければ推定が困難でした)の両方が生まれました。その結果、分類自体は専門の天文学者が行うものと同等の正確性を持つと分かっています(Lintott et al. 2008)参照)。

ぎんがいろモザイクの科学成果ハイライト

ぎんがいろモザイクの科学プログラムは、主に近傍・中間赤方偏移の宇宙に焦点を当てた多様なトピックに貢献してきました。ハイライトとして、近傍宇宙で最大規模の銀河合体の研究(Darg et al. 2010)、潮汐矮小銀河の研究(Kaviraj et al. 2012)、初期銀河のダストによる暗黒帯の研究(Kaviraj et al. 2012)、渦巻銀河の棒構造(Masters et al. 2011, 2012)の研究があります。自動化された分類と比べて、本プロジェクトで起こるユニークな点として、思いがけない発見が起こりやすいところです。これは分類中のボランティアがトークページで議論を提起して紹介することで気づかれます。こうした発見として、近傍宇宙で星形成が極めて活発なコンパクト銀河である「グリーンピース」(Cardamone et al. 2009)や、もっとも有名かもしれない"Hanny's Voorwerp" (Lintott et al. 2009)、類似するAGNで電離したガス雲(Keel et al. 2012)などがあります。色と形態の両方の情報を持つ銀河の大規模サンプルが利用可能になったことで、形態ではなく色が環境と最も相関しているという重要な発見が得られました(Bamford et al. 2009; Skibba et al. 2009)。その結果、赤色渦巻銀河(Masters et al. 2010)や青色楕円銀河(Schawinski et al. 2009)といった銀河のサブクラスの発見につながりました。

ぎんがいろモザイクの過去のフェーズ

現在のサイトには、SDSS、HST、JWST、UKIRT、ユークリッド、CTIO 4mブランコ望遠鏡など異なる様々な望遠鏡で取得した画像が含まれています。SDSS画像はDR8と南天銀河キャップデータのもので、近傍宇宙の銀河のサンプル数が40%増加しました。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の画像は、ハッブル最大のトレジャリープログラムであるCANDELSによるものです。このサーベイは第3広視野カメラ(WFC3)に登場の恩恵を受けたもので、宇宙年齢の最初の50%に相当する z > 1の銀河への窓が急速に開かれました。これらの時代を撮影した以前のHST画像では、ACSのようなサーベイ観測に使える装置が可視光波長でしか利用できず、遠方銀河の大部分で静止系での紫外線相当になる波長を使うしかありませんでした。しかしWFC3はNICMOSより20倍優れた近赤外観測能力により、z > 1での遠方でも静止系で可視光相当になる波長での観測が実現しました。

CANDELSではWFC3の近赤外フィルターを用いて、GOODSやCOSMOSなどの確立されたHSTレガシーフィールドの800平方分角を撮像しました。形態学的な分類は静止系での可視光波長で最も適切に行えるため、WFC3の近赤外画像はこのプロジェクトにとっても特に重要です。また、紫外線で明るい星形成領域だけに限らない星の集団も追跡できるようになりました。

SDSSとCANDELSのぎんがいろモザイクサンプルを組み合わせることは、形態学的解析が必要となる様々な重要な未解決問題に答えるための強力なツールとなります。たとえば、ハッブル系列はどの時代に確立されたのか、原始的な回転楕円銀河はいつどのように形成されたのか、銀河合体や星形成を起こす永続的なプロセス、宇宙初期の巨大ブラックホールの成長がどのような役割を果たしたかといった問題にヒントを与えるでしょう。

UKIRTの画像はUKIDSSの一部の巨大領域サーベイ(Large Area Survey :LAS)から来たもので、SDSSフィールドと重複する4000平方度を撮影したものです。私たちはぎんがいろモザイクの2期で分類された、高品質なUKIDSSでの画像を持つ合計約70000個の銀河を選択しました。このサイトでは、Y,J,Kバンドの画像を組み合わせたカラー画像として使用しています(Jバンドは解像度を向上させるためディザリング観測されています)。これらの画像により、波長の関数として形態を追跡でき、たとえば静止系での赤外線で銀河の棒構造を持つ割合は増えるのかなどを調べることができます。

ぎんがいろモザイクでは、観測される赤方偏移の効果をシミュレートして人工的に処理したSDSS画像の小さな画像セットを含んだこともあります。これはぎんがいろモザイクの2期で得られた形態的に多様なサンプルを使用し、FERENGIコード(Barden, Jahnke, & Hausler 2008)を用いて赤方偏移が1になるまで処理されました。この画像の分類結果はハッブル宇宙望遠鏡を用いた分類データの較正に使用され、実際の銀河進化に依存することなく、解像度と明るさに依存するバイアスを評価できるようになりました。

2015年初頭から、ぎんがいろモザイクに3種類の新たなデータが加わりました。そのうち2つはこれまで既に本プロジェクトで形態分類されてきたGOODSとCANDELSの2種類のハッブルサーベイですが、新しいデータではデータの深度(表面輝度の限界)を変えることで形態測定にどう影響するかを調べています。新しいCANDELSは2エポックのデータで既にカタログされた5エポックのデータより浅く、GOODSの画像は完全深度の画像で以前の浅い観測を補完するものです。最後の3つ目はSDSSのモノクロ単色のugrizフィルターによる、それぞれおよそ1000枚の銀河の画像で、形態分類と波長の関連をより注意深く調べる目的があります。

ダークエネルギーカメラレガシーサーベイ(Dark Energy Camera Legacy Survey :DECaLS)はSDSSによる様々な分光反復観測を補完するための公開された撮像サーベイです。チリのCTIOにある4mブランコ望遠鏡に設置されたダークエネルギーカメラを使用し、DECaLSチームはストライプ82を含むSDSSの撮影してきた領域と重複する6700平方度の空の領域を撮像しました。画像はg,r,zバンドで撮影され、SDSS画像より角分解能と点光源感度が大幅に向上しています。ぎんがいろモザイクでの形態分類とDECaLS画像を組み合わせて、低輝度銀河でのハッブル系列の測定、潮汐テールやわずかな合体の痕跡、偶然の珍しく異常な天体の発見といった科学目標の実現を目指します。DECaLS画像は2015年半ばから実装されました。

また、ぎんがいろモザイクでは最先端の銀河のシミュレーション画像を用いて、シミュレーションに使われている物理モデルをテストし、コンピューターで再現された銀河の形態が実際に宇宙で見られるものと合っているか評価しています。Illustris シミュレーションはダークマターとバリオンの両方を、現在の宇宙に進化する条件にわたって追跡するために現実的な物理モデルを組み込んだ、大規模宇宙論的シミュレーションです。ぎんがいろモザイクではIllustrisシミュレーションで生成された銀河の画像を分類しています。これらの画像はSDSSの望遠鏡が観測したような、赤方偏移z=0.05に相当する223 Mpcの距離に位置するように作られています。銀河は様々な角度や、実際の複数の空の背景に対して出現し、ぎんがいろモザイク2期などの以前のプロジェクトで観測された形態分類と直接比較が可能です。Illustris画像も2015年半ばから実装されました。

さらに新しい画像ソースは、Galaxy And Mass Assembly(GAMA) Surveyから提供されたものです。GAMAは多くの地上や宇宙の観測装置で得られた多波長データを組み合わせて、数千から数百万光年に及ぶスケールで銀河やダークマターの構造を調べます。特に、GAMAはAATの大規模な赤方偏移サーベイで得られた25万個近くの銀河についての距離についての価値ある情報が加わっています。これにより銀河の環境、銀河が属するグループや大規模構造をとてもよく特徴づけることができます。GAMAは最近、ESOのVSTでのKilo-Degree Survey (KiDS)で得られた画像を利用できるようになりました。これにより、以前までGAMAの光学画像を担っていたSDSSと比べて、データは劇的に改善されました。分解能と深さの向上によって、私たちはより多くの銀河のかすかな構造を研究でき、環境と形態変化のつながりをさらに理解することに役立ちます。GAMA KiDSの画像は2016年末から最初のデータが実装されました。

ぎんがいろモザイクプロジェクトの目的は、様々な科学目標に答え、JWSTのような動き出したばかりの最新の装置での形態学的研究の基盤を整え、次世代の30m級超巨大望遠鏡やALMAといった装置で追跡するための、形態学的に分類された高赤方偏移銀河のサンプルを準備することです。