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研究

プロジェクトの範囲

「食連星」とは、互いの星を公転している連星と呼ばれる恒星のペアのうち、私たちの方向から見て1つの星がもう1つの星の光を遮る(食)ものを指します。食連星パトロールでは、NASAとマサチューセッツ工科大学による宇宙望遠鏡 TESS (Transiting Exoplanets Survey Satellite:トランジット系外惑星探査衛星)からのデータを用いて、こうした複数恒星系の謎を解き明かします。 一緒にデータを整理して、偽物(食連星のように明るさが変化して見えるが、本物の食連星ではない天体)を除いて新しい食連星を発見しましょう。

このプロジェクトで既に分類を行いましたか?おめでとうございます!あなたは私たちのボランティア科学者チームの一員です!

なぜ私たちはあなたのようなボランティア科学者をさらに必要とするのでしょう?TESSからのデータには多くの情報が含まれていますが、非恒星物体や背景ノイズなどの私たちの興味から外れたソースが表示されてもコンピューターが違いを理解することは未だ困難です。

そこで、あなたの助けによって悪い候補の中から良い候補を見分けることができます。そして、これらの恒星を太陽系外惑星(太陽以外の恒星を公転する惑星)を探すことにも使うことができます。

参加する準備はできましたか?まずは気軽に、今すぐ分類を始めましょう!そして、複数星系や太陽系外惑星についてもっと学びたい場合はこのページを読み進めてください。何百年も研究されてもなお多くの驚きを秘めている、魅力的な天体である食連星の謎を一緒に解き明かしましょう。

光度曲線

食連星パトロールでは、皆さんは「光度曲線」を調べて新しい食連星を探します。光度曲線とは、天文学者が使う専門用語で、空の天体を観測した光度を時間の関数としてプロットして示したグラフのことです。食連星パトロールではこのプロットを頻繁に用います。他に、調査対象の天体周辺の狭い領域の画像も用います。

連星

私たちが夜空で光の点として見ている恒星のうち、かなりの数が実は連星、2つの恒星が重力的に結びつき互いの周囲を公転している系であることが知られています。

実際、太陽のような恒星の半分近くは連星であり、さらにその1割は多重恒星系と呼ばれる3個以上の恒星を含む系であることが知られています!
たとえば太陽に一番近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリは αケンタウリ三重星系の一部であり、地球から4.25光年 「しか」離れていないαケンタウリAとαケンタウリBからすこし離れた、4.35光年の位置にあります。

多重恒星系の複雑さは、天体物理学の様々な分野において研究のための貴重なツールになります。恒星の構造や形成、進化の調査に役立つだけでなく、超新星や惑星状星雲、重力波といった壮大な天体現象を生むこともあります。多重恒星系は天文学者だけでなく一般市民層にも興味が広がっている、太陽系外惑星の形成や進化・居住可能性についても深い視点を得るヒントになります。

多重恒星系は宇宙全体に広がっており、様々な姿をしています。たとえばいくつかの連星は互いの距離が十分離れているので両者を2つの光点として分離でき、望遠鏡を使わずに肉眼で分離できるものすらあります。逆に、2つの星の間隔が非常に狭いと、強力な望遠鏡の力を借りてようやくそれらが連星である痕跡が得られます。様々な種類の連星についてより詳しい情報はこちらを参照してください。

食連星 (EBs)

食連星は連星系の中の分類の1つで、恒星物理学の 王道 ともいえる重要な基礎的情報を提供します。食連星は長年の間、天文学のほとんど全ての分野に役立った研究分野です。たとえばアルゴル型変光星のプロトタイプであり、北半球から肉眼で見えるペルセウス座ベータ星は少なくとも数百年、ひょっとしたら数千年もの間監視されてきました。

前述のように食連星は1つの恒星がもう1つの星の前を通過し、周期的にその光を遮る系です。この現象が起こる特別な位置関係は貴重なので、私たちが新しい食連星を見つける価値は高いです。
NASAのTESSミッションで観測された食連星について動画で見てみましょう。

食連星を簡単に可視化することはできますか?

はい、オンライン食連星シミュレーター を使って、自分で任意の食連星を作り、その光度曲線を再現できます。

互いに公転する2つの恒星の大きさが違ったら問題はあるのでは?

全くそんなことはなく、実際に連星系の2つの恒星は一般的に大きさや質量、温度が異なります!

これまで述べた概念についてわかりやすいように以下の例を考えます。周期Pで互いを公転する2つの恒星を想像してください。うち1つはより大きく、重く、温度が高く(主星とします)、もう一方はより小さく、軽く、温度が低い(2番目の星、伴星とします)とします。そして私たちがその連星系を、横、それもちょうど真横から(エッジオン)眺めると、食が発生します。

もしこの連星系の明るさの時間経過を(光度曲線などとして)観測すれば、私たちは、小さいほうの星が大きい星の正面まで動き、後者からの光の「一部」を隠したとき(位相0、周期の始まりに相当。軌道の位相についての詳細は「よくある質問」のページを参照)に、より深い「主の」食を観測します。そして小さいほうの星が大きい星の背後に移ると、小さな星からの光は完全に隠されて見ることができなくなりますが、この星は元々より暗い星なので影響は少なく、より浅い「副の」食がこのときに(位相0.5、主極小から半周期分後)起こります。

例外として、2つの恒星がまったく同じような星である双子の連星であれば、主極小も副極小も等しくなります。

食連星シミュレーター を使って、2つの例の間の多様な光度曲線について試してみることができます。

2個より多くの恒星を持つ恒星系はあるのか

はい、前述のαケンタウリ星系のような三重連星、さらには四重連星五重連星六重連星、さらに高次な系である可能性のある天体(たとえばカシオペヤ座AR星)があります。

重要なのは、系の中の星の数が増えるにつれて複雑性が増し、物理的に軌道を特定することができなくなることです。そのため多重連星系の構造は一般的に階層的です。たとえば、三重連星系はよく短い周期の連星系(2)と、それらと互いに長い周期で公転する3つ目の星(1)からなる2+1の構造からなり、四重連星系は2+2という、短い周期の連星系が2ペアあり、ペア自体同士でより長い周期で公転する構造がよく見られます。最初の食六重連星系であるTIC 168789840は3つの別々の連星系からなる2+2+2の系です。より正確には2+2の四重連星がより遠くの連星である伴星を持つという構造で、驚くことにこの3連星とも食連星です!

このプロジェクトはそもそもTESSと関係がありますか?TESSは太陽系外惑星を観測するはずでは?

NASAのTESS(トランジット系外惑星探査衛星)ミッションは全天に広がる数千万個の恒星の明るさを監視しています。その多くは連星であり、そのごく一部は幾何学的に地球と並び食を起こします。割合は小さいとはいえ絶対数が驚異的であるため、包括的な分析が必要な食連星は数十万個に上ります!

この食連星パトロールでは、これらの食連星候補とされたTESSデータの光度曲線を綿密に調べ、自動解析が間違って検出する可能性のある明らかな問題から微妙な罠を探しています。これらの問題の影響は軽微なもの(たとえば、食連星に間違いはないが測定した周期が2倍ずれている)や深刻になりうるもの(食は観測されているが対象星とされた天体によるものではない)、さらに死活問題(そもそも食連星ではない例!)など様々です。私たちと協力して、食連星と思われる候補が「本当に」良い候補であるかを確認できます。

惑星を持つ連星系はあるのでしょうか?

はい、食連星の周りに惑星がいくつか見つかっていることは確かです。TESSミッションでもすでにTOI 1338bTIC 172900988が見つかっており、現時点で2個見つかっているということは更に多く存在するでしょう。しかし惑星を見つける前に、まずは主星となる連星を見つける必要があります。連星を見つけるもっとも簡単な方法が、食連星という形で見つけることです!

食連星や太陽系外惑星の科学

太陽系外惑星とは何ですか?
太陽系外惑星とは、太陽以外の恒星を公転する惑星のことです。このうちトランジット系外惑星は、太陽系外惑星のうち、主星を公転する際に周期的にその星の光の一部を(食連星と同じように)遮るものを呼びます。

TESSとは何ですか?
TESS はNASAの最新の太陽系外惑星探査ミッションで、数千個のトランジット系外惑星を発見することを目指しています。TESSは何千万個もの空の天体の明るさを計測する宇宙望遠鏡で、市民科学者の助けなしではとてもすべてを扱え切れないような膨大なデータを提供します。TESSは2018年から観測をはじめ、1年に全天の半分を観測し、そのうち30日ごとにタイル分けされたセクターを観測しています。TESSの1か月の観測概要についてはこの動画で分かりやすく解説されています。このミッションでは地球から見て金星が太陽面を通過するのと同様に、星の表面の一部を公転する惑星が遮ることにより発生した、遠く離れた恒星の明るさのわずかな落ち込みを検出することで、既に数千個のトランジット惑星候補を検出しており、この数はさらに増えると期待されています。

TESSは同様のミッションを行う初めての望遠鏡ですか?
いいえ!TESSの前のミッションとしてケプラー.があります。ケプラーとTESSは太陽系の外にある惑星を探すという目的は似ていますが、目標とミッション設計が異なります。

たとえばケプラーは空の狭い領域を4年間連続で口径1.4mの望遠鏡で捜索し4000個以上のトランジット系外惑星を発見しましたが、TESSは4つの10.5cm鏡からなる望遠鏡で、空をセクションごとに区切り30日ずつ観測して別の領域に移ることで全天を観測します。望遠鏡の鏡が小さいほど、光源の混同という後述する問題を起こすので捜索は難しくなります。

ケプラー宇宙望遠鏡に搭載されているジャイロスコープが2台故障して以降は、ケプラーはK2と呼ばれる、空の異なる領域を捜索していく新しいミッションに転用されました。プラネットハンターズExoplanet Explorersに参加した市民科学者はNASAのケプラーやK2ミッションのデータを組み合わせて何十個もの太陽系外惑星を発見し、その中には空に4つの太陽をもつ惑星ボヤジアンの星といった珍しく興味深い天体も含まれています。

私たちの姉妹プロジェクトであるPlanet Patrol の市民科学者は様々なカタログにある何千に及ぶTESSの惑星候補を調べ上げ、何百もの偽物を見つけ出し分析ワークフローの改善に協力しました。

光源の混同とは何ですか?
天体観測に関して最も一般的な問題の1つに「光源の混同」と呼ばれる効果があります。あなたも同様の効果を夜道で体験できます。遠くから来る車は最初は1つの点に見え、2つのヘッドライトを両方別々に視認できません。これを2点に分けるには、車が近づくのを待つか、より大きな目玉で見るしかありません。

同様に、空の中でたがいに接近して見える複数の恒星(もしくは銀河)でも同じことが起こり、望遠鏡で観測した画像では2つを分離することが難しく、1つの光源がもう1つと混ざってしまいます。望遠鏡の鏡が小さくなればなるほどこの問題は酷くなります。そのためこのコンタミネーションはTESSのノイズの主要因であり、TESSデータの解読のために市民科学者の助けが必要な主な理由です。

以下は光源の混同の一例です。2枚の画像は同じKOI-258という恒星をそれぞれ別の望遠鏡で撮影したもので、1つは口径1.4mのケプラー望遠鏡、もう1つは口径6.5mのMMTです。左のケプラーの画像では単一の星に見えますが、実際は右のように3つの星なのです!

以上を踏まえて次のシナリオを考えてみましょう。左の画像だけを想定して、対象となる「星」の明るさが周期的にわずかに減光することに気づけば、トランジット惑星候補を示唆する可能性があります。しかし、右の画像のような追加情報が加わるとどうでしょう?3つの星のどれかが、全体の合計の明るさの変動を起こしているかを決定する必要があります。左の画像のような、明るい恒星の周囲の小さな惑星でしょうか?それとも右のように、背景に潜む食連星でしょうか?あるいはまったく別の何かでしょうか?

KOI-258の例では、恒星がトランジット惑星を持つのではなく、実は食連星が混ざっていたことが判明しています。

1.4mのケプラーでも間違えたKOI-258を、わずか10.5cm=0.1mしかないTESSの望遠鏡が向けられて撮影することを考えてみてください。混沌とした宇宙の中で、何が何であるかを整理することは非常に難しいことです。食連星パトロールでは、一緒にこの課題に立ち向かいます。

さらにもっと知りたいですか?「よくある質問」のページにさらに情報を掲載しています!