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宇宙はダイナミックな場所です。銀河や恒星が変わりゆくには数百万年から数十億年のタイムスケールがかかる一方で、それに比べて信じられない速さで明るさを変える突発天体も存在します。例えば大質量星の死である超新星は数週間で明るさが変化しますが、それよりさらに高速で変化する天体も宇宙には数多く存在します。本プロジェクトで私たちは、これまで見つかっていなかった種類の、一瞬の爆発現象を見つけたいと思っています!
このプロジェクトではNASAのトランジット系外惑星探査衛星 (Transiting Exoplanet Survey Satellite :TESS)が観測したデータを使います。TESSはエクスプローラークラスに分類されるミッションで、本来の目的は主星の周りを公転する惑星の検出です。TESSの観測は「静止して見つめ続ける」ことであり、空の特定の領域(広視野なので広大です)をおよそ27日間絶えず観測し続けてから次の領域に移って同じ期間観測し続けます。観測期間の間、TESSはそれぞれの領域を最短で200秒ごと・最長でも30分に1回撮影し続けます。つまり、私たちはその領域の天体の明るさがそれだけ短い、高速なタイムスケールで変動しているかを調べることができます。
私たちのPythonベースのデータ解析パイプライン「TESSELATE」では、TESSの画像に写った明るさの変わらない恒星をすべて除外し、最終的には何らかの原因で明るさが変化している画像が残ります。次にTESSELATEはこれらの画像から明るさを変えている天体を見つけ、その明るさの時間変化をプロットした「光度曲線」と呼ばれる図を作成します。光度曲線の解析によって、私たちはその天体の種別を決定することができます。
このプロジェクトの最も面白い点は、何が見つかるかすべて正確には予想できない点です!新しいタイプの天体が見つからない可能性もありますが、それはそれで興味深い結果です。発見対象が未知とはいえ、実際の増光イベントがどのような見た目をしているかは以下のようにある程度予想することができます。
光度曲線は天体の明るさが時間経過につれてどのように変化するかを示します。見かけの天体の明るさは、実際にはノイズ(信号強度0付近のランダムな成分)と実際の信号(実際に何らかの物体が発した光)の組み合わせです。天体の明るさが暗すぎると、光度曲線ではノイズが優勢となり、その現象が本物かどうかを判断しづらくなります。
実際の増光イベントの光度曲線は、その増光を引き起こした原因によって特定の形状を示します。たとえば私たちが一般的に予想する急激な爆発現象では、明るさが鋭く急上昇し、そこから増光の勢いよりは若干ゆっくり気味に、明るさが減りもとに戻っていくでしょう。多くの場合、以下のような高速で明るさが上昇し、すぐに消えていくような光度曲線を見ることになると思います。
このように急速な爆発現象についてある程度の予想を持っているとはいえ、宇宙は常に私たちの予想を裏切り驚かせてくれるので、意識をとらわれることなくオープンな気持ちで取り組みましょう!
実際の増光イベントは、TESSの画像中で恒星のような見た目をしている必要があります。恒星はおおよそ3ピクセルにおよぶブロック状の天体として写ります。
私たちが本プロジェクトで用いる図では、検出された光源の見た目を右上に示しています。私たちの検出アルゴリズムでも恒星のような見た目をしている天体に制限していますが、それでも混乱が生じることがあります。増光イベントを本物と決める前に、検出された光源の形状が星ではない疑いが無いか見てください!
そして私たちは、1時間後にその天体が宇宙空間を見かけ上移動していないかを同時に確認します。1時間後に天体が暗くなったり移動するのではなく、位置自体が変化しているのであれば、それはおそらく小惑星です。TESSによる小惑星観測は科学的にもちろん興味深いテーマですが、本プロジェクトの目標とするところではありません。
上図の説明 私たちの捜索パイプラインが検出した急速な突発天体。左側の光度曲線ではほんの1時間の間に明るさが急上昇するだけでなく、消滅まで至っています。そして右側の検出画像では、一番明るい時の画像ではTESSが撮影する典型的な恒星と同じ見た目をしており、1時間後には見えなくなっています。
皆さんによってプロジェクトが進み、候補天体のリストが得られたら、私たちチームがそれらを集約する必要があります。このプロセスは世界中のスカイサーベイや望遠鏡のネットワークの大量のデータセットと突き合わせて行う必要があるので、簡単ではない作業です。もしその天体について既に知られた追加データを見つけたら、それは候補から除外します。たとえば皆さんが突発天体と分類した、TESSによって特定できた天体の位置に、天体カタログ上で暗く赤い恒星が存在する場合は、この増光イベントはフレア星と呼ばれる既に知られた部類の天体からの恒星フレアの可能性が十分高いです。大きな発見のために、私たちは他の銀河に対応する増光や、一見何もない位置で起こる突発天体を探しています。
私たちは突発天体における全く新しい時間領域を捜索しているので、何が見つかるか、そしてどのような姿をしているかはは私たちにも全て予想できません。皆さんの助力によって、刺激的な新しい発見をジャンクの検出の中から拾い出し、TESSによって観測された高速突発天体の光度曲線データベースを構築できます。さらに、皆さんの分類結果の1つ1つが自動検出の機械学習アルゴリズムの訓練に生かされ、この分類を今後新しいデータに対して自動的に行う際に役立ちます。
私たちが一緒に見つけたものについて、随時プロジェクトを更新していきます!