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研究

研究紹介と背景

このZooniverseプロジェクトでは、合体中の銀河における超新星爆発について調べます。


(合体銀河の例)

銀河の合体では、複数の異なる銀河が衝突しています。これは、重力や強力な超新星爆発、銀河内のガスの量といった多くの要因に左右されるカオス的な現象です。こうした合体は銀河の形に大きな影響を及ぼします。たとえば、天の川銀河のような形の銀河が2個衝突すれば、最終的にはより楕円銀河に近い塊状の形になります。しかし合体が起こると、シミュレーションでは合体後の新しい銀河では星形成が爆発的に起こるとされています。

合体により形成された星はやがて超新星爆発という、星のライフサイクルの最後に起こる爆発を起こします。超新星爆発には大別して2種類あります。1つ目は熱核的爆発と呼ばれる、白色矮星に近傍星から物質が降り注ぎ溜まっていった末に起こる爆発です。2種類目は中心核崩壊と呼ばれる、星の一生の終わりに自身の重力を押し返すだけのエネルギーを生むための燃料が尽き、星が崩壊しその後爆発する、リバウンドやバウンス段階とも呼ばれる爆発です。

こうした超新星の種類や爆発が起こった銀河について私たちはBlastという、約39000個の超新星についての情報を含むデータベースから情報を取得しています。皆さんに分類いただくデータもBlastを基にした画像データです。

このプロジェクトの目標は合体中の銀河で爆発した超新星を見つけることです。1つとして同じ見た目の合体銀河は存在せず、この識別はコンピューターには困難か不可能であるため、本研究において市民科学の力が不可欠です。
ですので、これらの特殊な合体事例を見つけるために、可能な限り多くの方々に協力をいただく必要があります。

この研究から私たちは、超新星爆発のエネルギーが、銀河合体時にどれくらいの量の質量がその系から放出されるかを知りたいと考えています。これらの結果により、超新星からのフィードバックが、「クエンチング」と呼ばれる星形成の停止現象にどれくらい寄与しているかを知ることができます。また、合体系におけるガス密度の増加と乱流が、天の川銀河のような単一銀河よりも大質量星を多く生み出す要因になるかも知りたいと思っています。

合体環境での初期質量関数の研究

宇宙において、ある質量の恒星はどれほど誕生するのでしょうか?これは初期質量関数(IMF)と呼ばれる、天文学者が異なる銀河環境下でどのように恒星が形成されるかを知るために使う指標です。
ここで生まれる疑問は、このIMFが普遍的なもの、つまりどの銀河でも共通しているのか、それとも銀河によって異なるのかということです。


(IMFの分布の簡略図。提供:Pearson Education, Inc.)

IMFを研究するにあたっての1つの障害が、個々の恒星を観測できるのは私たちからきわめて近傍の銀河に限られるということです。天文学者はIMFを知るために個々の恒星を直接解析します。しかし、IMFの変化について調べるには、多くの異なる銀河環境下について調べる必要があります。Zooniverseからのデータセットはその役に立ちます。
前述のように、合体系では星形成が爆発的に進みます。私たちは、こうした特有の環境でのIMFの測定を試みたいと考えています。
そして、現在の天の川銀河のIMFの研究結果と比較したいです。しかし、何億光年も離れた先の合体銀河系のIMFをどうやって調べるのでしょうか?

合体銀河系で観測された超新星の種別は、初期質量関数を知る大きな手掛かりになります。中心核崩壊型の超新星は、その性質上太陽の8倍以上の恒星でないと起こりません!しかし、星の質量が大きくなるほどその寿命も短くなります。そのため、合体銀河系で中心核崩壊型の超新星爆発を起こした恒星たちは、すべて同じ合体による爆発的星形成のタイミングで同時に誕生したと考えられます。私たちはIb・Ic型超新星 と呼ばれる、中心核崩壊型の超新星の中でも特に大質量の恒星で起こるタイプの超新星の発生比率を測定することで、合体での星形成でどれくらいの大質量星が誕生したかを推定できます。もしこの比率が合体銀河と非合体銀河で異なれば、IMFもこうした特殊な環境では変化することを意味します。

超新星のフィードバックが星形成を制限するかの観測

超新星フィードバックとは、超新星爆発で生じたエネルギーによる衝撃波が、周囲のガスやダストを押し出す効果です。超新星爆発による強い衝撃波によって、ガスやダストは超新星近辺から、場合によっては銀河の外側にまで押し出されます。
現在、まだ私たちは超新星フィードバックが星形成の制限にどのように影響するのか、それとも恒星フィードバック 効果が支配的なのか分かっていません。

その解明のためにまず、市民科学者の皆さんの協力を得て、合体銀河中の超新星を発見します。そしてその明るさをBlastデータベースで利用可能な情報として取得し、放出されたエネルギー量を推定します。そこから、超新星によって合体銀河系からどれくらいのガスやダストが押し出されたかを計算できます。そしてその結果を、恒星フィードバックの効果だけで星形成を抑制(クエンチ)するモデルと比較し、銀河合体の効果が寄与する割合を理解できます。

繰り返しますが、以上の研究は市民科学者の皆さんの助け無くして始まりません。
分類に参加いただいた皆さんに感謝いたします。