





画像からアーティファクトを見つけ、NASAが開発中のナンシーグレースローマン宇宙望遠鏡の新しいデータへの準備に備えるためにあなたの助けを必要としています。欧州宇宙連合は現在ユークリッドミッションを行っており、そこにはローマン宇宙望遠鏡とよく似たカメラを搭載しています。つまり、ユークリッド宇宙望遠鏡の初期データ処理で残ったアーティファクトについて理解することは、ローマン宇宙望遠鏡のデータのアーティファクトを早く解明することに繋がります。
天文学者はすでにこのプロジェクトの画像から多くのバッドピクセルを取り除きアーティファクトを最小限にする努力を行ってきましたが、完壁にこなすことは不可能です!そこで皆さんの出番です。私たちはユークリッドデータからアーティファクトを見つける機械学習モデルを使用していますが、まだこのモデルはよく間違いを犯します。アーティファクトの識別精度について皆さんのフィードバックをいただくことでこのモデルを改良できます。
このプロジェクトの結果は、NASAの今後のローマン宇宙望遠鏡からのデータを解析するために機械学習モデルを訓練させるために活用されます。私たちは画像から大きなアーティファクトを除去し、遠方銀河までの距離を正確に測定するための科学解析に用いるデータのみを残すことを目指しています。最終的なモデルは、天文学コミュニティで広く利用できるようローマン研究ネクサスプラットフォームで公開予定です。
ローマンのデータを用いる天文学者の誰もがネクサスにアクセスし、アーティファクトのマスキングのために私たちのモデルを利用できるようになります。
スマホで写真を撮った時も、その写真に 実際に存在しないものが誤って写りこむ ことが、カメラについたホコリやレンズのフレア、デッドピクセルなどによって起こることがあります。これらをアーティファクトと呼びます。同じことは望遠鏡で空の写真を撮った時も起こります!私たちは天文画像で、実際の天体とアーティファクト像の両方を見ることになります。スマホの写真なら簡単にその場で撮り直せばいいかもしれませんが、望遠鏡ではそういう機会があると限らず、一度取得した画像を最大限使用することが求められます。そのため、アーティファクトを含む画像を解析し、それらがどのように見えるかを理解する必要があります。
アーティファクトの中には本物の天体そっくりなものもあります。最も正確な水準での天文学の研究のために、どの物体がアーティファクトでどれが実際に私たちの宇宙に存在する天体なのかを識別する必要があります。それぞれの望遠鏡によって、アーティファクトのパターンは固有で、まるで指紋のようです。新しい望遠鏡のデータで研究を始める際、私たちは必ずその望遠鏡画像の特有のアーティファクトがどのように見えるかを把握しなければ、科学研究のためのクリーンなデータを得られません。 カメラや電子機器の新技術はより高品質な画像をもたらす一方で、未知の種類のアーティファクトを生じさせることもあります。
このプロジェクトでのデータは、銀河の単なる撮像画像ではなく、スペクトル観測です。こうしたデータは銀河までの距離やその他様々な性質の手掛かりになります。望遠鏡に取り付けられた、このスペクトルを取得する装置はグリズムと呼ばれます。
スペクトルは光を波長ごとに分けたものです。白い光を虹色に分けるプリズムとして、皆さんもこの概念を知っているかもしれません。私たちの目は異なるスペクトルを異なる色で見ることができます。銀河がどの波長の光を放っているか、そして異なる波長でその明るさはどのように異なるかを知ることは、銀河までの距離、銀河内の恒星の年齢、銀河内部の超大質量ブラックホールに至るまでを教えてくれます。これは、各元素が特定の光の波長を放つことに由来します。つまりこうした固有波長の放射を探すことで、スペクトル中に化学的な痕跡を探すことができます。
たとえばプリズムを通じて光を当てると以下のようなカラフルな光が見えます。
(画像クレジット: NASA)
上の虹はすべての波長の光を含んでいますので、どの元素由来の特定波長の光は見えません。しかし、ここからスペクトルの平均光量を差し引くとどうでしょうか?私たちはその平均光量を連続成分と呼んでいます。この減算を行うことで、以下のように特に明るい波長のみが残って見えます。
(画像クレジット: NASA)
本プロジェクトでは平均より明るい、固有波長での「輝線」が見えるようになります。この連続成分の減算は、銀河の化学的兆候を分析して調べることに繋がります。
本ワークフローでは、皆さんに連続成分の減算を行う前と後の2種類の画像をお見せします。両方を見比べることで、画像中の明るい光点がアーティファクトなのか、輝線なのか、減算が上手くいかなかった連続成分の一部なのか分かりやすくなります!画像中のそれぞれの水平な線はスペクトルなので、各々が虹色だと想像してみてください。しかし銀河によっては非常に暗く、連続成分も暗すぎるため輝線しか見えないこともあります。
このプロジェクトのデータは多数の銀河のスペクトルを同時に観測することで、複数の虹が生まれます。ただしワークフローで皆さんにお見せする画像は、大きな生画像のほんの一区画です。もし画像がカラーであれば以下のように複数のスペクトル線が虹のように見えたでしょう。
(画像クレジット:NASA/ESA)
皆さんが見る銀河のデータには連続成分を表す縞模様と、輝線を表す小さな塊として見え、完全な虹としては見えません。
ローマンやユークリッド宇宙望遠鏡搭載の装置の1つであるグリズムは、回折格子(グレーチング)とプリズムを組み合わせたものです。回折格子は光を通過する多数の細かいスリットを持ち、プリズムのように虹に分解し、遠方の銀河からの光の大半をスペクトルとして波長ごとに分け、科学者がそれを研究できるようにします。しかし同時に、光の一部はスリットを通っても分光されずそのまままっすぐ通過することもあります。
このまっすぐ進んだ光を0次光源と呼びます。つまりこれは望遠鏡の光学系が生んだ、銀河の余分な像です。皆さんの見るユークリッドQ1データでは、無限大記号のような2つの光の塊のような見た目で見えます。こうした二重の塊は接近した銀河でなく、グリズムが生んだ光学アーティファクトです。
残りの屈折した光がスペクトルを生じます。天文学者はこうしたデータを集めて、他の銀河までの距離や化学組成を知ろうとしています。
このプロジェクトで使用されているオープンソースであるSegment Anything Model (SAM)はMeta AIが作った、画像内の物体を区別して切り分けるモデルです。例えば下の飛行機の画像を見てください。SAMは日々の様々な画像で訓練されており、だいたいは新しい物体でも訓練しなおすことなく正確に切り分け、強調することができます。そのためアーティファクトの識別にも使用可能です。しかし、望遠鏡を通じた画像では訓練されていないため、SAMはよく間違いを犯します。
(画像クレジット: Meta Segment Anything)
本プロジェクトの研究者は、このワークフローでの皆さんの分類を、SAMをグリズムデータの天文的なアーティファクト検出のためだけに訓練して改良すべく使用したいと考えています。SAMの初期セグメンテーションマップの予想に対する皆さんからの評価の結果で、SAMを訓練して私たち独自の微調整されたバージョンを作ろうとしています。私たちはMetaと直接何らかの協力しているわけでありません。この改良されたSAMの天文学バージョンは、プロジェクトの最後に公開して、査読論文誌の論文にしようと思います。Metaやその他営利企業に共有する予定はありません。なおSAMはApache 2.0ライセンスで提供されているため、商用利用や改変、配布。特許利用、およびモデルの私的使用が認められています。