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研究

天の川銀河の衛星矮小銀河

以下は天の川銀河の衛星銀河(伴銀河)の一例です。これらの銀河は、惑星が太陽の周りを回るのと同様に、天の川銀河の周囲を公転しています。その大きさや明るさは様々で、大・小マゼラン銀河のように肉眼で見えるものもあれば、世界最大級の望遠鏡でないと発見できないものもあります。私たちは、現在こうした最も暗い部類の天の川銀河の伴銀河を発見しようとしています。

私たちのチームは矮小銀河の発見において大きな成果を挙げてきました。DESやDELVEを通じて、私たちのチームは以下の21個の矮小銀河を発見しました:レチクル座II、エリダヌス座II、きょしちょう座II、とけい座I、がか座I、ほうおう座II、つる座II、きょしちょう座III、はと座I、きょしちょう座IV、レチクル座III、きょしちょう座V、くじら座II、ケンタウルス座I、エリダヌス座IV、うしかい座V、おとめ座II、こじし座I、ぺガスス座IV、みずがめ座III、しし座VI

私たちは皆さんの力を借りてさらに多くの矮小銀河を発見したいと考えています!

現在発見されている衛星矮小銀河についてはwikipediaも参照してください。


なぜ矮小銀河が重要なのでしょうか?

矮小銀河はその名の通りとても小さな銀河です。私たちはその中でも、伴銀河と呼ばれるような天の川銀河を公転している銀河に、その距離の近さから関心を持っています。これらの銀河は、これまで発見された銀河の中でも最も暗黒物質が優勢に占めているため非常に興味深いのです。

暗黒物質は、全宇宙の質量・エネルギーの27%を占める謎多き物質です。しかし、私たちはそれが何でできているかを未だに知りません。なぜなら暗黒物質は目に見えないため、星や銀河といった通常の見える物質を重力的に引っ張る作用として間接的にしか知ることができないからです。

科学者たちは暗黒物質の性質について数多くの様々な仮説を提唱してきました。その仮説によって、天の川銀河の周辺に存在が予測される伴銀河の数は異なります。つまり、天の川銀河の周りの伴銀河を全て見つけることができれば、それぞれの予想を検証してどの暗黒物質についてのモデルが最も正確に言い当てることができたかを絞ることができます。例えば、以下は有名な2つのモデルによるシミュレーションで、1つは冷たい暗黒物質、もう1つは温かい暗黒物質と呼ばれるものです。冷たいモデルのシミュレーションのほうが温かいモデルよりも多くの伴銀河の存在を予測しています。つまり、私たちが大量の伴銀河を発見すれば、正しいモデルから温かいモデルを除外することができます。

近年、新しい望遠鏡や技術の登場、そして願わくば世界中の多くのボランティアが集まることで、矮小銀河への私たちへの理解は大きく拡張されようとしています。現在天の川銀河周囲には約65個の矮小銀河が発見されており、その全てが私たちの宇宙への理解を深めることに役立っています。暗黒物質の研究へ役立つだけでなく、こうした銀河は銀河考古学や恒星物理学といったトピックを深く探求することを可能とし、「最小の銀河とは何か?」という根本的な疑問に答えることにも繋がります。

DELVEについて

ダークエネルギーカメラ局所ボリューム探査サーベイ(Dark Energy Camera Local Volume Exploration Survey :DELVE)は、最も暗く暗黒物質優勢な銀河を理解するための国際コラボレーションです。チリのセロ・トロロ汎米天文台の口径4mブランコ望遠鏡を用いて、DELVEは以下のマップで示した南天の高銀緯の空域全体を撮像しています。

セロ・トロロ汎米天文台(Cerro Tololo Inter-American Observatory :CTIO)はチリのラ・セレナ郊外に位置しています。

CTIOではビクター・M・ブランコ4m望遠鏡に2012年に搭載された高性能広視CCD撮像装置のダークエネルギーカメラ(Dark Energy Camera :DECam)を用いて観測を行っています。


私たちのZooniverseでのプロセス

しかし、私たちが関心を持っている銀河は極めて暗いため、通常は前景となる天の川銀河内の無数の星々の光が上回っています。

この課題を解決するため、私たちは等時線フィルターを用いています。等時線(アイソクローム)は特定の年齢と組成を持つ銀河内の星の明るさと色を推定するためのツールです。等時線と一致しない恒星を除外することで、前景の天の川銀河の星々の多くを取り除き、背景に隠されている銀河の姿を明らかにすることができます。
以下の画像は矮小銀河レチクル座IIについて、等時線と一致しない恒星を除外する前後を比較した画像です。

皆さんが分類する画像に表示される恒星密度プロットを作るために、私たちはまずその領域の恒星をマップ上で単一の点に置き換えます。そして、画像中のある微小領域内に何個の点(恒星)が存在するかを計算し、恒星密度を求めプロットします。恒星密度プロット中で暗くなっている部分が、恒星がより集中している部分を表します。以下のGIFで、領域内の恒星に等時線を当てはめて、等時線と合わない恒星をすべて除外した上で恒星密度プロットを作ることを、等時線を徐々に変化させながら行うことで、前景となる天の川銀河の星々に隠されていた同一の等時線上にある恒星の過密領域を検出する様子を表しています。等時線を光度方向に明るくしたり暗くしたりすることで(つまり図上で上下にシフトすることで)、様々な距離に存在しうる矮小銀河を効率的にスキャンすることができます。
この方法で機械的に大量に生成した、コンピューターによって等時線と合っているとされた高密度領域の画像を、皆さんに本物かどうか判断していただきます。

Zooniverseで分類された後、私たちは特に有望な候補を選んでさらに大きな望遠鏡での追跡観測を依頼します。このフォローアップ画像はより暗い星まで深く観測でき、その候補が本当に矮小銀河か確認する役に立ちます。
これらの矮小銀河候補をふるいにかけるためのお手伝いをお願い致します。

皆さんが分類する画像には多くの誤検出やジャンクもありますが、何か新しく面白いものを発見する本当のチャンスでもあります!

さあ、あなたの出番です!