





完了しています!このプロジェクトでは現在既に全てのデータが分類されました。
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このプロジェクトでは、宇宙空間にある荷電粒子からなる高温ガスであるプラズマを研究しています。私たちは カオス なプラズマと呼んでいるよりエネルギーの高い粒子と、平穏 なプラズマと呼ばれる粒子の違いを知りたいと思っています。これは簡単ではありません。太陽の挙動は常に変化しています。これは11年周期の活動サイクルもありますが、その他に日々変化する活動もあります。そのため分類しようとしているプラズマは非常に混沌としています。太陽磁場が変化し大量のプラズマが爆発によって宇宙に放たれるコロナ質量放出(CME)と呼ばれるような大規模な太陽減少の際はこの区別はもっと難しくなります。
プラズマが カオス なのか 平穏 なのかの手がかりを探すことはできます。しかしNASAの磁気圏マルチスケールミッション(MMS)の探査機は10年以上にわたりデータを収集しており、常に変化する状況に応じて手掛かりを1つずつ探すことは非常に大規模な作業になります!
そこで皆さんの出番です。こうしたプラズマ領域の分類を手伝うことで、みなさんは宇宙科学に直接貢献できます。人間のパターン認識の能力は非常に優れており、毎回違った姿を見せる場合でも認識ができるほどです。一緒に、いつ、どこでプラズマが 平穏 から カオス へ変化するかを探しましょう。皆さんの貢献は、科学者が異常な現象を研究する助けになるだけでなく、将来的にほかの惑星の宇宙環境をデータ解析するための機械学習モデルの訓練にも活用されます。
このプロジェクトは同じくZooniverseプロジェクトであるソーラーのおとしものと密接につながっています。両方のプロジェクトで一部重複するMMSのデータを使用し、研究者チームの何人かも同じメンバーです。しかしソーラーのおとしものプロジェクトでは地球の磁場とそれを取り囲む太陽風の境界の広い範囲に注目しているのに対し、本プロジェクトはこの境界のすぐ外側にスポットを当てて、衝撃波面付近のプラズマの挙動を理解することを目指しています。どちらも、その成果は地球付近の宇宙環境の描像をより完全なものに近づけることに繋がります。
太陽がエネルギーを送るのと同じプロセスで、プラズマも送り出されています。この流れのことを 太陽風 と呼びます。太陽風が地球に到達すると、磁気圏 と呼ばれる惑星が持つ磁場のシールドに遭遇します。地球磁気圏は地球の磁場で作り出されます。
高速で飛来する太陽風が地球磁気圏に衝突すると、突如急減速を強いられ、その結果衝撃波が生まれます。これはソニックブームのようなものですが、宇宙でも起こる現象です。宇宙空間はきわめて真空に近いため、粒子同士が実際に衝突することはありません。その代わりに見えない磁場の力がバリアのように働き、太陽風を散乱させ減速させます。このプロセスは境界域で起こり、バウショック と呼ばれます。
衝撃波による攪乱は磁気圏を通過し、時には地球にまで届きます。これは宇宙天気と呼ばれる、オーロラの発生や衛星や電力系への障害を引き起こします。
地球付近のプラズマ環境の図。バウショックの一部(nの黒矢印が、黒い破線のIMFとなす角度)が画像上部では準垂直(quasi-perpendicular)になっています(平穏 に相当)が、画像下部では準平行(quasi-parallel カオス に相当)になっており、プラズマの波状パターンを生んでいます。
画像クレジット: ヨーロッパコミッション2021
バウショックと磁気圏の間には、磁気圏シース と呼ばれる乱流で擾乱された領域があります。これは磁気圏の保護層として働きます。太陽は 惑星間磁場(IMF) と呼ばれる自己の磁場を持っています。この磁場は太陽系全体に広がっています。この磁場は太陽風の動きや、それが磁気圏シースにどう影響するかに関わっています。
IMFは常に一定ではなく、地球を通過する太陽風の様々な流れや太陽活動によって刻々と変化しています。この変化は分単位でも、時単位でも、日単位でも起こります。このため磁場とバウショックがなす角度は常に変化します。これは探査機が同じ場所を飛行しても、毎回バウショックは異なる振る舞いを見せることを意味します。
衝撃波の挙動は、IMFがバウショックに到達した際の衝突角によって変わります。磁場がバウショックに対して横方向にある場合、これを 準垂直 と呼びます。逆にバウショックに対して平行にある場合、これを 準平行 と呼びます。この呼称はややこしいかもしれませんが、太陽風の粒子が衝撃波にどのようにぶつかるかではなく、むしろ見えない磁場の衝撃波に対する方向・角度を表しているのです。
上の図で、準垂直な衝撃波は図の最上部で現れており、比較的穏やかで均一な様相を呈しています。このプロジェクトではこれを 平穏 な領域と呼びます。一方、画像下部のさざ波模様に囲まれた準平行な衝撃波は不規則で乱れて見えます。本プロジェクトではこれを カオス な領域と呼びます。IMFの方向は時間が経つと変化するため、ある時点で平穏な領域も別の時にはカオスとなっていることがあります。
長年にわたり膨大な観測を集めてきたため、私たちにはこの衝突の変化が地球のバウショックにどう影響するかを追跡し、いつどこで 平穏 や カオス な領域が現れるかの統計的な描像を構築できる材料が揃っています。これによりバウショックがどのようにエネルギーを処理し、様々な太陽風の条件下でいつ、より高エネルギーな粒子を生み出せるかを調べることができます。
この調査が重要な理由は3つあります。
第一に、この境界は太陽風と地球磁場が出会った瞬間を表しています。これを研究することで、この領域を通過する際に、太陽風に何が起こるかを見ることができます。また、地球に到達する前にどのように太陽風が変化するかを知ることもできます。こうした変化は、地球近傍空間の温度や圧力といった宇宙天気に影響します。
超新星も衝撃波を生みますが、周囲の衝撃波を直接測定することは簡単ではありません。
画像クレジット: NASA/ESA/G. Bacon (STScI)
第二に、衝突の衝撃波は、プラズマの相互作用が起こる場所では宇宙空間のあらゆるところで生じています。地球でのバウショックを研究することは、私たちの磁気圏から遠く離れた衝撃波について知ることでもあります。地球のバウショックは天然の再現実験室です。そこで、宇宙船を容易に送り込めないような場所の衝撃波についても研究できるのです。地球のバウショックをより良く理解できれば、私たちがまだあまり多くを知らない衝撃波についての手がかりを得ることができます。こうした衝撃波には、遠方の惑星の磁場、超新星残骸、ブラックホールのプラズマジェットが含まれます。
第三に、カオス なプラズマが磁気圏シースで優勢な時、より多くのエネルギーや波が地球の磁気圏に到達します。これによってGPS信号の乱れ、通信網への影響、電力網への脅威となりうる宇宙天気にも影響します。
科学者はまだ完全に、磁気圏シースがいつ 平穏 と カオス の状態で切り替わるか、そしてそれが地球へのエネルギー輸送にどう影響するかを理解できていません。プラズマ領域の分類で、その欠けている全体像のピースを明らかにできます。
NASAの磁気圏マルチスケールミッション(MMS)は4機の独立した探査機からなります。これらは地球磁気圏を編隊飛行しています。MMSの主要目標はこの複雑なプラズマ環境の基礎を理解することです。2015年の打ち上げ以降、MMSはバウショックの境界を6000回以上通過しています。
MMS宇宙探査機の想像図
画像クレジット: JHU/APL
宇宙探査機の飛行中、搭載装置が探査機周囲のプラズマを計測しています。装置では温度、エネルギー、磁場などを記録しています。この測定値は、科学者がプラズマが地球の近傍空間でどう挙動し影響を及ぼすかを理解するヒントになります。
私たちは特にバウショックの背後の磁気圏シースに着目しています。なぜならここは、太陽風が衝撃波面を通過した後にどう変化するかを観察できる場だからです。バウショック自体はとても薄く、探査機の通過時間は長くは継続しません。なので宇宙探査機はこの境界で何が起こっているかを測定することは容易ではありません。
代わりに磁気圏シースを研究することで、プラズマが太陽風が地球に到達した際の衝撃波面を通り抜けた後で変化、減速し、混ざり合うときに何が起こるかを観察できます。
この研究はNASAの支援を受けています。NASAのボランティアプロジェクトについてのほかの情報はこちらを参照してください。