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雲は惑星の大気圏でよくみられる現象です。雲は大気圏を温めることも冷やすこともできるので、惑星の天候や気候を理解するうえで重要です。火星では、氷の雲が大気圏の中でも上層部、中間圏と呼ばれる高度50km以上の領域に形成され、中間圏雲と呼ばれます。これらの雲が興味深い、いくつもの理由があります。
火星は乾燥した惑星ですが、大気には水蒸気が存在し水の氷の雲を形成します。しかし火星大気のほとんど(95%ほど)は二酸化炭素でできており、低温の環境なので、二酸化炭素の氷(ドライアイス)も雲を形成します。
これはNASAのキュリオシティ探査車が地上から撮影した中間圏雲です。
[画像クレジット: NASA/JPL-Caltech/MSSS]
雲について、以下の重要な疑問があります。
私たちのこのプロジェクトでの目標は、まずこれらの雲を見つけてマッピングすることで、これらの疑問に答えるためのデータベースを構築することです。
目標を達成するため、私たちは火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービター(Mars Reconnaissance Orbiter :MRO)に搭載された火星気候サウンダー(Mars Climate Sounder :MCS)のが取得したデータを捜索しています。MCSは火星の地平線を赤外線と可視光線で観測し、火星大気の温度や水の氷・ダストの組成量を測定する装置です(McCleese et al., 2007)。MCSが最初に地球にデータを送ってきたその日から、火星の高高度に奇妙なものが写っていることがわかりました。それはアーチ状のループの形をしており、雲であると分かりました(下の写真参照)。
アーチのような形は、以下の図の左側のように、探査機が火星周回軌道上を公転することで、見下ろしている雲の見かけの高度が変化することに起因します (模式図はSefton-Nash et al., 2012より引用)。探査機が0の位置から1,2,3と進むにつれて、MCSは大気の縁の異なる部分を観測し続け、雲の見かけの高度(z')は地表から上昇し続けます。 アーチの頂上に相当する3の位置が、雲の実際の高度を表します。しかし、さらにそのまま探査機が4,5と移動していくと雲は対称的に今度は見かけの高度を下げていき、アーチのような形が完成します。アーチはミッション開始当初から観察され、以来今では20年近くにわたってMCSでの観測が続いています。こうした雲を見つけるため、このプロジェクトではMCSの観測している全ての波長範囲(赤外線から可視光に至ります)で測定された放射や熱を調べ、アーチの頂点を見つけ出しています。見つけた結果から、雲の位置と発生時間を割り出し、市民科学者による火星全体の中間圏雲マップを作成します。
まず、皆さんには火星暦29年(2007年12月から2009年10月まで、火星の公転周期は687日なので火星での"1年"もその期間に相当)の雲を調べてもらいます。火星での1年間を通しての雲を調べつくすことで、火星の季節によって中間圏雲がどのように変化するかを決定づけることができ、雲がどのスペクトル波長で観測されるかを比較することで時期によって発生する雲の違いも把握できます。これらの結果は、市民科学者が発見した雲を識別するためのモデルの精度を決定するための機械学習アルゴリズム用のグランド・トゥルースデータセットとして機能します。有用なモデルが見つかれば、ほかの年の雲のデータを高速でサーチし、年によって雲がどのように変化するかを研究できます。ただし、これらの変化の理解のためには皆さんのような市民科学者の助力がさらに必要になるかもしれません。また、火星でのダスト量が平年より非常に少なかった火星暦30年や、MCSが新しい観測方法を初めて1日の様々な時間帯での観測ができるようになった(通常、MCSは火星時で午前3時と午後3時頃に観測を行います)火星暦31年のデータも追加予定です。
火星についての基礎を学びたいですか?
あるいは地球の雲についても興味がわきましたか?