完了しています!このプロジェクトでは現在既に全てのデータが分類されました。

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Thank you so much for all your help! The project is currently down while we process the results from the PRIMER field. We will upload new images within the next month or so.

Also note, this project recently migrated onto Zooniverse’s new architecture. For details, see here.

研究

ブラックホールはどのように成長するのでしょう?

大型の銀河はどれもその中心に超大質量ブラックホールを有しています。こうしたブラックホールの質量は、私たちの太陽の100万倍から10億倍にも達します。銀河の進化において、どのようにこうしたブラックホールがそんな巨大な大きさになったのかという疑問は未解決課題の1つです。ブラックホールは単独では自ら輝きませんので、物質を消費して活動しているときにしか観測できません。ブラックホールへ落ちていく物質は超高温となるため、その高温によって観測ができるのです。

現在、ブラックホールの成長の「標準モデル」は、ブラックホールが2つの銀河の衝突によって起こる銀河合体で成長するというものです。それぞれの銀河のガスがブラックホールに供給され、成長につながります。さらに、それぞれの銀河内のブラックホールもまた合体して、より大きな1つのブラックホールになります。しかしこれはあくまでも理論モデルで、ブラックホールの成長が銀河合体で起こっているかは依然としてホットな議論トピックです。これまでの研究では、銀河の相互作用とブラックホールの成長の間に、相関関係がある場合と相関がない場合が、調査する銀河の母集団により両方見つかっています。そして現在、最先端の観測と皆さんの力を合わせて、合体が超大質量ブラックホールの成長に必要かどうか決着をつけることができるかもしれません。

ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡

従来の赤外線(IR)サーベイは分解能が比較的低く、観測対象は近傍の大型の銀河に限られていました。しかしジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope :JWST)の打ち上げと最初の広視野サーベイのデータ公開により、より暗く赤い、さらに遠方の銀河が研究できるようになりました。このより完全に近い銀河の集団は、1つ1つは私たちの天の川銀河と似ていても、宇宙のきわめて初期に存在するものであるため、超大質量ブラックホールの成長に新たな視点を提供できます。


上の画像(出典)は空の同じ領域を、JWSTと前世代の近赤外・中間赤外宇宙望遠鏡のスピッツァーで観測したものです。左側がスピッツァーの中間赤外観測、真ん中がスピッツァーの近赤外観測で、右側がJWSTの中間赤外観測です。JWSTが系外銀河の観測においてどれだけ優れた能力を持つかがわかると思います。従来は最も明るい部類の銀河しか検出できず、それもただの円か光の塊としか見えませんでしたが、現在はより小さく暗いものも見ることができます。

加えて、JWSTの優れた分解能のおかげで、観測史の中で初めて、中間赤外線で銀河の構造が見えるようになりました。銀河の合体は、十分に解像された銀河集団の中から、視覚的分類や分解された光源の光の分布の解析によってのみ検出できます。そのため、この種の研究が初めて可能になりました。皆さんの助けを得ながら、この素晴らしいデータセットを利用して、ブラックホールが過去100億年間でどのように成長したかを理解できます。

ブラックホールを見つけよう

ブラックホールが物質を吸い込んだ時の光の放射は、宇宙でほかにみられるどの光とも異なります。活動的なブラックホールは電波からX線に至るまですべての波長を放出します。可視光のように、波長によってはその光を恒星の光と区別しにくいときがあります。しかし赤外線では、光はべき乗則と呼ばれるパターンに従うので、古い恒星やダストといった他の光源による熱放射の赤外線と簡単に見分けることができます、私たちはJWSTによる異なる波長の赤外線観測の明るさから、スペクトルエネルギー分布(Spectral Energy Distribution:SED)フィッティングと呼ばれる処理方法を用いて様々な光源の寄与を相対的に推定します。SEDフィッティングによって、銀河の光のうち中心のブラックホールから放射される光の割合などを含む多数の様々な物理特性を知ることができます。

この処理でブラックホールを見つけたら、皆さんが分類によって作成するデータを用いて、ブラックホールの位置に合体している天体があるかを照会します。このプロセスを何千もの銀河に行い、観測した結果と予想を比較し、大きなブラックホールが合体系に存在する傾向があるかどうか、そしてその傾向は現在のブラックホールのサイズを説明するのに十分かを決定することができます。

合体銀河を見分けよう

ここで皆さんの力が必要です!天文学者は、銀河を種別ごとに分類する巧妙な方法をいくつも考案しようとしましたが、残念ながら合体銀河とそうでない銀河を一意に区別する方法は多くありません。なぜなら合体はどの種類の銀河にも起こりうるので、その外観や色、物理特性が様々なものが混ざっているからです。合体銀河を見つける一番優れた方法は視覚的に、その2つの銀河が衝突しているかを見分けていくことです。そのためには、私たちの画像を多くの新鮮な視点で見ることが必要です!こうした銀河の一部は遠方に位置し、ビッグバンから数十億年しか経過していません。あなたがそれを見つける最初の1人になるかもしれません!

本プロジェクトでの銀河の分類は3枚のパネルを含む画像を見ます。一番左は、肉眼で見た時の見た目に近いようにカラー合成した銀河の画像です。真ん中の白黒画像では、左と同じ銀河について静止系でのgバンド、464nmに相当する波長での天体を表しており、この波長は他の光源よりもその銀河中の恒星の光が優勢になります。
これらの2つの画像は一般的に、銀河内の古い恒星に対応しています。右側の画像は、同じ銀河について波長7.7ミクロンの中間赤外線で観測したもので、銀河のダスト放射に対応しています。
そして見ている銀河の種類(ディスク、楕円、不規則)と、その銀河が近傍の銀河とどのくらい相互作用を起こしているかを尋ねられます。それがどのような種類の銀河か分かる場合は、さらに詳しい特徴についても質問します。この分類により、私たちは宇宙に存在する銀河の種類についてさらに理解でき、ブラックホールが成長する銀河の種別について新しい視点が提供できます。

皆さんが何を発見するか、楽しみにしています!